A U R I C U L A S

オウリキュラの実生について
 
(1) 実生は自家採種、輸入種子を問わずジベレリン100ppmで1昼夜処理し、更に冬の積雪下に置いて3カ月ほど冷処理をする。実生用土は日高砂単用で、十分に煮沸消毒し、よく水洗いして使用する。水苔粉は以前は混入したが、意外に用土を不潔にするので、今は使っていない。採種後に過度に乾燥した種子は、発芽が2年に渡ることもあり、蒔床の長期保存のためにも実生用土の消毒は不可欠となる。種子は一般の山草と同じく覆土はしない。
 
(2) ジベレリン処理はプリムラ属のほとんどに効果があり、オウリキュラでも同様の効果が認められる。
 
(3) @ 発芽率を左右するのは、実生の条件等よりも種子の熟度で、小粒の未熟種子が多いと、当然発芽も悪い。グリーンエッジなど特殊な個体間で交配を繰り返した系統は、種子の稔性も悪く、発芽率も低い。なお、自家採種の注意として、良い個体を得るために人工受粉(ハンドポリネーテッド)に努め、交配にあたっては長花柱花は使わないこと。短花柱花は劣性遺伝だが、短花柱花どうしの交配では、概ね短花柱花が出現する。輸入種子で長花柱花が多く出るのは、この原則を守っていないためで、量販種子商からの入手はできれば避けたい。
 
A オウリキュラ節のプリムラ全体の傾向として、発芽1年目の成長が遅く、早すぎる移植は1年目の冬にダメージを受ける結果となるので、当地では発芽2年目の春を移植の適期としている。小さすぎる苗は単独植えとせず数株一緒に移植する。
 
B 暑さと日差しに強いものは存在しない。幼苗は成株よりも潅水が必要だが、その他の管理は成株と同じで、半日陰で雨除けして育てる。
 
C 寒さに弱いものも存在しないが、積雪下の多湿環境ではムレによる枯死がでる。無加温室で乾き気味に越冬させるのがベスト
 
D ダメージのほとんどは、難物山草と同じく軟腐病、灰色カビ病などの菌によるもので、表土と地上部を清潔に乾燥気味に保つことが、重要。薬剤散布はあまり効かない。梅雨時は、雨を避けて、通風の良い場所に置く。時期を問わず枯れ葉が出るが、黄褐色になった痛んだ葉は、できるだけ早く付け根から取り除く。放置は病気の原因になる。
 
E どれも分け隔てなく気に入っているが、オールド・アイリッシュブルーやオールド・サフォーク
ブロンズなどボーダー系の古い品種が、意外にいつまでも味わい深い。渋いシリウスも味がある。
 
F ボーダー系統は日本でも比較的に丈夫。
 
G 米国で選抜されてきたダブル系統は、ガーデンオウリキュラの血が入っているらしく、英国系のダブルに比べて格段に強健。雨にも結構耐えてくれる。 
 
(4) 肥料は遅効性のマグアンプKのみ。有機肥料は病気の原因になるので使用していない。
 
(5) 参考資料としては、Auriculas /Gwen Baker & Petter Ward
最新の品種については専門ナーセリーなどのカタログ