

食糧危機は今の問題だ 「地球人の世紀へ」「2030年、中国の穀物不足量は2億700万トンから3億6900万トンに達す る。世界はそれだけの穀物を供給できない」 米国のワールドウオッチ研究所のレスター・ブラウン所長の著作『だれが中国を養うのか』 は大きな反響を呼んだ。 9月3日、東京で開かれた朝日新聞社主催のシンポジウム「次の世代へ美しい地球を」 でも、ブラウンさんは食糧危機に警鐘を鳴らした。「食糧が不足し、価格が上がり、 それが政治の不安定化を招く」
世界の穀物需給は激しく変動してきた。近年をみても、1960年代は食糧過剰時代 だったのに、70年代は異常気象による世界的な不作と旧ソ連の大量輸入で、一転 して不足時代になった。「緑の革命」と呼ばれる途上国での収量増加で80年代は過 剰となり、在庫を抱えた先進国間で輸出補助金競争が繰り広げられた。 90年代にはいると、不足時代に逆戻りした。きっかけは米国の天候不順による不 作だ。世界の穀物需給は93年度から3年連続して生産量が消費量を下回った。 しかも、それまで穀物輸出国だった中国が、94年度から輸入国に転じた。経済発 展で農地転用が進んだうえ、肉をより多く食べるようになり飼料穀物の需要が増えた からだ。それをはやして、穀物相場が高騰している。
不安定性増す市場
昨今の世界の穀物市場の変動を、農産物の豊凶や、人口の増加による需給ギャップ だけで説明するのは一面的すぎる。 途上国での人口増加はもちろん、アジア地域の経済発展による需要増大が、変動の 一因であることは、いうまでもない。それに加え、世界的な市場経済への移行が、今 日の穀物市場の変動を大きくしている点にもっと注目したい。 共産圏諸国は、計画生産で一定の食糧を確保してきた。それが、冷戦構造の崩壊で 経済が市場化し、農業生産も不安定性を増してきた。
市場経済のリーダーを自認する米国でも、4月に成立した新農業法で、政府による 規制と保護のあった農産物の生産が、やっと「自由」になった。政府の財政負担を減 らすのが新法のねらいだ。一定の価格を保証する代わりに実施してきた生産調整を廃 止して、作付けを自由にした。生産者は相場の動向をみながら、より有利な作物をつ くるようになった。 このような世界的な変化が、需給調整機能をもつ政府在庫の低下を招き、相場をい っそう不安定なものにしている。
飽食と飢餓の併存
食糧不足は、いま、起きているのだ。国連食糧農業機関(FAO)によると、飢餓 とひどい栄養不足に苦しむ人々が、アフリカやアジアの途上国を中心に、90年で約 8億人もいる。この現実を直視しなければならない。
食糧生産と人口増加のバランス論だけでは、食糧問題を論じられない。世界で生産 されている約17億トンの穀物が、世界中の人々に平等に配られれば、飢餓はなくな 。飢餓に苦しむ人々がいるのは、所得格差による配分に問題があるからである。 食と飢餓の併存という、いま起きている不条理の解決が、食糧問題の核心である。 朝日新聞 96.9.8 社説より

アメリカでは市民団体が「飢え」をテーマにしたイベントがあるそうです。
参加者は、自宅で、学校で、職場で、一日中断食し、飢えることの疑似体験をします。
そのイベントのひとつに食事会があります。大勢が食堂に集い、くじを引き全体の
15%の人々は、日本や米国でのような豪華でふんだんな料理に舌つづみを打ち、
25%の人は、先グループほどではないにせよ、次の日の活力につながる簡素な食事
を得ます。
さて、残りの60%の人々は、グループで、水と豆といった少ない質素な
食料を分け合い、同じ参加者であり、同じ部屋にいながら、食事の質、量、栄養面の
どれをとっても非常に不公平な状態を体験するそうです。
しかし、これこそがねらいで、まったく偶然に分けられた3つのグループは、それ
ぞれ高所得国、中所得国、低所得国を表し、これによって世界の国々の人口と食糧の
かたよりを具現化しようとするものなのです。
現在の日本の経済は、知っての通り大赤字に苦しんでいます。
かろうじて”高所得国”の状態でいられますが、いつ”低所得国”になっても不思議のない
状態では無いでしょうか。
このことに早く気がつき、公平な食糧配分が出来る世界になるもならぬも私たちの意識一つに
かかっているのではないでしょうか。