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同和問題解決の現状

   

○ 全国的状況

 全国的に、同和問題は基本的に解決しています。 「越えがたい最後の壁」と言われた結婚問題でも、若年層ほど部落内外の婚姻は進み、結婚に反対する事例も激減しています。 残念なことに結婚差別が皆無になったとまでは言えませんが、その場合でも反対する家族・親族を教育的に説得し、結婚にいたる事例が多くなっています。 反対者に対しては、結婚する当事者だけではなく、親戚中から教育的な説得が続くなど、国民の民主的意識は着実に前進しています。

 就職においては、なおのこと「部落出身者だから」という差別事象は激減しています。 就職時の「身元調査」などはいまだに少なくありませんが、そのほとんどは「同和地区(=部落)出身かどうか」というより、思想調査や同業者が親戚にいないかなどの調査です。 もちろんこれらの調査は、民主主義の観点から許されざるべき問題ですが、一部の行政機関のように、「身元調査=同和問題」と考えるのは、あまりにも短絡的です。

 政府も2000年10月31日の「全国地域改善対策主管課長会議」で、総務庁の佐藤地域改善対策室長(当時)が「今後の同和行政の方向」と題し、約50分にわたって演説しましたが、そのなかでは次のように述べています。

 (同和行政という)特別対策の終了は、同和問題をとりまく状況の変化に対応したものだ。 国、地方公共団体の長年にわたる取り組みによって、物的な生活環境の劣悪さが差別を再生産する状況は改善され、差別意識も確実に解消されてきた。 これはこれまでの同和政策の成果であるが、同時にわが国経済の高度成長の過程で、社会構造が変わったことも同和問題が解決されてきた要因としてあげられる。 特別対策を終了するのは、このように同和地区をとりまく状況が大きく変化した状況でなお特別対策を継続していくことが問題の解決には必ずしも有効ではないからである。 ・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・ なお残る差別の感情、意識を行政による啓発だけで解消しようとすること、またお金をかければかけるほど効果があると考えることは正しくない。 これまでの同和行政は民間運動団体の要望にどう対処するかという側面が大きかったが、一般対策以降後はどのような施策が有効かを見極めていくものでなければならない。

 佐藤室長が強調しているように、差別意識も確実に解消されてきています。 残る意識を行政の啓発だけで解消しようとするのは正しくないということは、全国の行政機関に徹底されているはずです。 いまも「啓発・教育万能」論に立つ行政機関が少なくありませんが、啓発に貴重な血税を際限なくつぎ込んでいくことは、決して効果があるものではありません。 なにより、同和問題をとりまく状況が変化していること、すなわち環境改善は大きく進み、差別意識も解消しているという現実から目をそむけ、十年一日の同和啓発を続けている自治体は、このことを真摯に反省し、啓発のあり方を見直すべきではないでしょうか。

           

            

○ 東京の状況

 東京では、明治維新以来の大量の人口移動、関東大震災、東京大空襲、戦後の「高度経済成長」期における人口の流出入などにより、「地域共同体」としての部落は解体・解消し、差別事象もほとんど解消しています。

 部落問題の解決とは、決して部落差別をする人がいなくなることではなく、部落差別を地域社会が受け入れない状況を作り上げることです。 この視点で見れば、差別をする人がいたとして、逆にその人に「いまどきそんなことを言っているのか」「部落出身か否かなど、関係ないではないか」と周囲の人が言うぐらいまで、東京での民主主義・都民意識は前進しています。

 まれに差別落書きやインターネットへの差別的書き込みなどが問題視されますが、これも不公正・乱脈な行政に対する批判や、「解同」(=部落解放同盟)などの運動に対する批判が、ゆがんだ形であらわれているものがほとんどではないでしょうか。 よく「解同」事務所や「解同」構成員には差別はがきが舞い込んだとか、電話で差別的な罵詈雑言を浴びせられたなどということが彼らの機関紙に掲載されますが、部落解放運動を正しく前進させてきた私たちの前身である東京都部落解放運動連合会には、そのような問題はありませんでした。

 こうしてみると、東京での部落問題はすでに解決していると言えます。 行政が「人権」の名のもとに事実上の同和行政・同和教育をおこなったり、差別とはいえないものまで無理やり「部落差別だ」として問題視したり、「解同」などが自らの運動を自省することなく、運動への批判までも「差別」として取り上げたりすることは、同和問題の解決に逆行することです。 東京における部落問題とは、現状ではゆがんだ行政の是正や、「解同」などの運動こそが、問題となっているのです。 政府の地域改善対策協議会の意見具申(1984.6.19、1986.12.11)、同基本問題検討部会報告(1986.8.5)、総務庁啓発推進指針(1987.3.17)などでも、「同和問題解決の新たな阻害要因」として、行政の主体性の欠如や民間運動団体(=「解同」)の行過ぎた言動などがあげられ、このような「諸要因を是正していくことが不可欠である」「同和問題解決のために成し遂げるべき極めて重要な今日的課題である」と指摘されています。 東京ではまさに、こうした新たな要因を解決することこそが求められています。

   

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