東京人権連 > 主張

現行憲法で保障された生存権。人権問題の基本中の基本です。憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。
この条文がいま、危機に直面しています。
厚生労働省が、社会援護局長のもとに「生活扶助基準に関する検討会」を設置し、生活保護基準の見直しを検討し始めています。
年内にも報告書をまとめて、来年度の予算にはこれを反映させるという計画です。
その狙いは、生活保護基準の引き下げにほかなりません。
いま、多くの関係者から、不安と見直し中止を求める声があがっています。
それは、憲法25条2項を真っ向から踏みにじる暴挙であるからにほかなりません。
検討会ではこれまで、一般勤労世帯との比較で算定されてきた生活保護基準を、低所得世帯の消費水準バランスによる方法に改悪しようとしています。
地域によって支給額に差をつけていた「級地制度」や「勤労控除」も見直すとしています。
生活保護は、国が定めた最低生活費よりも収入が少ない場合、国がその差額を支給するもの。
いまでも最低生活費は一般勤労世帯の7割弱でしかなく、生活保護世帯はかなりきびしい状況におかれています。
この現状すら、低所得者より「やや高め」にあるとして引き下げれば、生活保護世帯は生活そのものが成り立ちません。
すでに老齢加算・母子加算の廃止・縮小や、多人数世帯の基準額削減などにより、各地で深刻な実態が現れています。
これ以上の保護費引き下げを許せば、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」が、国民から奪われてしまいます。
いま、働いても生活保護基準以下の収入しかない「ワーキングプア」は6.5世帯に1世帯、履物工労働者では2世帯に1世帯となっています。
これらの世帯は本来、生活保護の活用が可能ですが、基準の引き下げはこの人たちを制度から締め出すことになり、低所得者にとって「最後の砦」である基準が失われることになります。
生活保護基準の「見直し」は、絶対に許せません。
(2007.12.17)